高校時代に、いつか必ず恩返しをしたいと思っていた心友がいます。
僕は中学の時は全国大会に行き、世羅高校へは鳴り物入りで入りました。
ですが精神的に弱かったのか、寮生活やかってな独自なオーバートレーニングで故障を繰り返し、なかなか結果が出せない選手でした。
彼は地元から入った普通の選手でした。
努力しメキメキと力をつけ、1年生の秋には全国高校駅伝のレギュラーに入りました。
補欠として控えに回った彼でしたが必ず2年生になれば走ると意気込んでいたに違いありません。
しかし彼はヘルニアになり、走れない体になっていきました。
悔しかったろうし、見えないとこで泣いていたかもしれません。
ですがそこからの彼の行動が僕の心に深く刻まれています。
部屋に来ては、
『てっちゃん今度の大会頑張れよ!』
『てっちゃん次の記録会頑張れよ!』
と足や体をマッサージしてくれ体調を整えてくれるのです。
当時の高校スポーツ界ではありえない光景です。先輩のケアは後輩がやるのが常でした。
僕は大切な体を命令でやってもらおうとは思っていませんでしたので自分でやっていましたが、1人では限界がありました。
そんな時、心のこもった彼の行為に甘えさせてもらっていました。
そして記録会では広島県で1番になったり、大会で優勝したりできました。
彼に、その時うまく感謝の気持ちを伝えれてたかはわかりませんが、今もはっきり当時のことを覚えています。
今日、島根県益田市豊川小学校で講演会がありました。
今回この講演会へ導いてくれたのがその彼なのです。
僕は何十年ぶりになる恩返しができると思いました。
講演会では子供たちに向け、保護者に向け、教師たちに向け、一生懸命話しました。
そして最後に名前を伏せて高校時代の彼とのいきさつを交えて話しました。
こられていた奥さんは夫の事だとすぐに察し、泣かれていました。
彼は今、会社の社長やっています。
悲しみ苦しみを乗り越えて、人のために生きた人は、未来では多くの家族の命を預かる大きな人になっている事…
最高の講演会になったのは言うまでもありません。
この後、彼の家に行き、彼の子供たちとも話をしました。
僕の大切な青春時代の心友の名前は
広田英二といいます。
感謝